存在認知の原点
- MAL

- 2 日前
- 読了時間: 2分
私がまだ出版広告業界にどっぷりと浸っていた頃、フォトグラファーとしての自らの立ち位置(目的)や価値(ギャラの高さや仕事の質)を意識し過ぎたあまり、気づけば自分を見失っていました。
その時、今一度自身のルーツを辿り、
自分は何者なのかを確かめるために、
故郷の人々のポートレートを撮ったことがあります。
あれは二十数年前のことで、その時間は、いくつもの気づきとともに、幼少の頃から抱えていた大きな問題の解決へと繋がる、想定外の収穫と成長をもたらしてくれました。
カメラのレンズを通して、漁業や農業に従事する故郷の人々と向き合いながら、同時に自分とも向き合う。
そしてその姿をフィルムに描写し、紙焼き(プリント)という工程を経て、
目に見え、手で触れられるかたちにすることで、一枚の写真と、さらには自分自身の深い部分と、対峙することができるようになっていきました。
幼い頃、海と山の中で太陽と風を感じていたあの感覚を思い起こしながら、
私は少しずつ自分自身へと還っていく。
そして同時に、数年後に訪れる出版広告業界からの引退という決断を、無意識のうちに感じ始めていたのかもしれません。
自然の中で人間らしく生きるということ。
人は自然の中で生かされているということ。
そこにいると、当たり前のように湧き上がる感謝の気持ち。
私は今もフォトグラファーとして東京にいますが、この感性を育んでくれたあの自然の大きさとスピリットを、一度たりとも忘れたことはありません。
今も続いているこの人生の中で、
自分自身を知ることも、表現することも、社会と繋がることも、
そして見失い、そこから抜け出し成長していくことも…
そのすべての傍らには、ポートレートという一枚の写真がありました。
私が撮るポートレートのコンセプト「存在認知/ストローク」には、
二つの言葉があります。
あなたがそこにいることを、私は知っている。
(存在認知の定義)
あなたの欲しい答えは、その一枚の中に在る。
このコンセプトの原点は、
すでにあの時から静かに始まっていたのだと思います。
Photographer MAL
存在認知/ストローク より




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